北米釣り紀行〔4〕
Written by leon
「釣り好き」の国民性と言うのがある。
逆に世界の国々ではほとんど釣りをしない国もある。
釣り好きな国と言えばヨーロッパが歴史も最も深く、「イギリス」「ドイツ」「スゥエーデン」「フィンランド」などだろう。
そして、アメリカ人もかなり釣りが好きだ。
元々は皆ヨーロッパ人なのだから頷ける話なのだが、実際向こうで聞く話で印象に残ったのが次の逸話であり、米国人の父親の普遍的な不文律となっている。
「親父が息子に教えてやる大事な事が二つある」
「キャッチボールとフィッシングだ」
「それ以外は自分で探せばよい」
と言う話なのだが、実に豪快、単純、明快、爽快、根源、深遠であると感じ入ってしまった。
さあ、我が日本はどうだろう?
いや、釣り好きの程度の話だ。
お読みの皆さんのご明察どおり、世界に冠たる釣り好きの国民性を持つ、そう言った意味で東洋一、アジア一、と言っても決して過言では無いほど「狂」の世界を構築してしまっている(笑)
特に鮎やグレなどのベジタブルイーターを釣るための発想は、恐らく世界に類を見ない特異なものであるし、その傾注ぶりは群を抜いていると言えよう。
私は米国でのフィッシングシーンで、日本人の釣りに関する独特の感性や、その傾注ぶりから来るクオリティの高さを、自らまざまざと体験してしまった。
それは諸外国や米国において始めて感じられる種類のもので、結果的に私(もしくは私達)は現地のアングラーを散々驚かせてしまった。
その代表的なものは昨今ビッグブームを起こしている「エギ」であったし、「サビキ」でもあった。
この二つは向こうのアングラーをして「ジャパンマジック」と言わしめてしまった。
だって彼らはイカ釣りを知らないし(当時は)、サビキなんて7匹いっぺんに魚が釣れるのだもの(笑)
この話は又の機会に書くとして、今回はロスの海岸で私がほぼ日課にしていた、別のジャパンスタイルフィッシングを振り返りながら当時の生活を綴ってみよう…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Redond Beachでの出会い
終業時間が近づくにつれ、俺の頭の中のモード比率がどんどん釣りの方向へと偏っていくのを感じる。
流石に毎日ではなかったものの、ほぼ2日に一度のペースで仕事が終わり次第そのままの服装で近くの海岸まで車を飛ばし、シューズを履き替えてフィッシングベストを着込み、2時間ほどのマズメの釣りを楽しんでいた。
場所はパロスバーデスと言う風光明媚な、観光地でもあり、海岸線は険しい断崖が連続する隆起地帯だ。
俺のフェバレイトはルアーフィッシングであるし、ターゲットは当然フィッシュイーター達だ。
ところが実は日本でもやったことの無かった「グレ釣り」をココで経験するはめになってしまった。
と言うのも、良く夕食をとる為に立ち寄っていた、シーフードレストランのあるレドンドビーチ・キングハーバーと言うところの桟橋で出あった一人の現地在住の日本人アングラーが俺にきっかけを与えてくれたのだった。
蟹を食ってはすぐ傍の消波提で小物釣りを楽しんでいたある日、一人のアングラーと遭遇した。
特に俺の興味を強く引いたのはそのスタイルだった。
見慣れたアメリカ人のスタイルと全く違う。彼らは一様に太くて短い(8~9フィートほどの)ロッドを使い、冷凍のイワシを餌にしたいわゆる「ぶっこみ釣り」が主流で、他にルアーマンをたまに見かける程度。
くだんの彼はと言うと、細くてしなやかな6mくらいのロングロッドに、これまたついぞ見かけない「棒浮き」をセットして軽やかに振り込んでいる。
どうにも声を掛けずに居られない。
近寄って声を掛けると気軽に挨拶を返してくれた。
どう見ても東洋人の風貌の彼は、東洋人のようでもありメキシカンのようでもある俺の顔をためらいながら見つつ互いの戦況など多少の会話を交わす。
そのうち俺の道具に気が付いた彼がこう言った(もちろんこの時点では英会話だが)
「シマノのリールですね…」
「こちらには売って無い奴…」
「日本人の方?…」
それはこちらも同じこと。
彼のロッドはどうみてもダイワ製の磯竿(笑)
合点した二人はほぼ同時に「やあやあ」「どーもどーも」と素の日本人の挨拶を交わした。
互いに一番気になる質問はまずは俺からだった。
「で、何が釣れますか?」
「いや、グレが少々」
「は?グレ!」
「ええ、口太です」
「おおお…?」
いや驚いた。
すでにロス滞在も一月を越え、釣行も二桁を越えていた俺は、未だ一匹たりとも日本で釣っていた魚種にお目にかかったことは無かった。
バス以外は名も知らぬロックフィッシュの類ばかり。
あるといえばメキシカン達が桟橋で必死で釣っているサバくらいのものだったからコレには少々驚いた。
彼はまさしく「日本のグレ釣り」のスタイルをそこで実践していた。
ただ撒き餌も無いし餌が少々おかしい。
彼は俺の疑問に気が付き
「コレね、グリーンピースなんですよ。ボイルしてある奴。スーパーで売ってます」
「釣れます。コレで。いくらでも」
とにっこり微笑む。
驚く俺を尻目に彼は話を続ける。
「ビックリでしょ?」
「日本の仲間も、オキアミボイルを持ってきてくれたりするのですが、グリーンピースが遥かに良いです」
「時々何粒かを潰して蒔いてやれば寄ってきますし…」
「ココはグレも小物しか居ないのです」
「パロスバーデスに良いポイントがあります」
「休日に一緒に行きませんか?タックルはお貸ししますので」
嬉しい提案だった。
一も二も無く約束を交わす。
今度は彼の方が疑問を投げかけてきた。
「私ルアーはやったこと無いのですが、その道具でココで何が釣れますか?」
と聞いてきた。
無理も無い。
彼は市民権を得て20年もこの地に住んでいるベテランだが、現地のルアーマンに俺のようなスタイルを見ることは無いらしい。
俺のタックルは、3ポンドのフロロラインと、ガマカツのコブラ1.4gにスクリューテールグラブをセットしたFLSの64と言ういでたち。
いまや普通のメバリングスタイルだが、10年近く前では日本でもまだ珍しかったかもしれない(笑)
「キャリコです」
「えっ、ココで釣れますか!?」
「メバルクラスのチビですけど…」
「へええええ~~…???」
いや、愉快愉快。
互いにビックリの連発。
彼の疑問符を打ち消してやるべく、「では、ちょっくらやってみますね」、と数投で二匹釣って見せると流石アングラーすぐに食いついてきた。
「そ、それ、凄いですね!何ですかそのルアー?」
と来たので
「その道具にセットしてユルユル引いても釣れますよ」
と、スクリューテールとコブラ1.4グラムを1パックずつ差し上げ、日が暮れるまで一緒に、その日良く釣れたキャリコを楽しんで、週末の約束を胸に彼と別れを告げた。
Palos Verdes
待ちに待った土曜日がやってきた。
と言ってもたった三日の辛抱だったのだけど(笑)
地元で不動産業を営んでいる彼とレドンドで待ち合わせて目的地を目指す。行った先は上の写真とは少し離れた場所で、彼の取って置きの穴場だそうだ。
恐ろしく急峻な踏み分け道を膝をがくがくさせながら降りる。
さらさらの赤土で、しかもからっからに乾燥しているので滑りやすく、かなり怖い思いをした。何せ45度くらいの斜面を下るのだ。
途中プレーリードッグや地リスの可愛らしい挨拶を受けながら降り立った海岸は、素晴らしく透明度の高いゴロタの浜だった。
彼の弁では日本のグレ釣りほどシビアにやる必要は無いので、棒浮きのほうが釣りやすく、固定仕掛けで浮き下は2mあればよいとの事。
タックルを用意する前に彼は一握りのグリーンピースをギュッと握りつぶし、海面に抛った。
さあ、自身初のグレ釣り開始だ。
貸してもらった見慣れた日本製の小さなプラスチックの餌箱に、大袋に入った冷凍のグリーンピースを30粒ほどカラカラと入れる。
セットしたチヌ針の6号にグリーンピースを3個ほど縫い刺しする。
寄せ波はソコソコ強い。
油断して前に出すぎるとシャワーの洗礼を浴びる。
指示を受けたブレイクの向こう側まで15メートルほど振込み仕掛けをなじませる。
ドキドキしながら見つめていたら浮きはすぐに立ち上がり、安定するかと思ったらシンカーが重すぎたのかそのままゆっくりと沈んでしまった。
「食ってますよ・・・」
「ええっ???」
半信半疑と言うような表現すら似合わない、衝撃のファーストヒットだった!
フォールの段階ですでにグレが食っていてそのまま浮きをゆっくりと引き込んだわけだ(汗)
結果は余りに、簡単、明快、単純で、
無垢、始原、手付かず、を実感させられた。
40cm前後のグレが一投目からガンガンアタックしてくる。
始めて40cm級のグレを釣ったが噂にたがわず素晴らしい引きをする魚だった。左右に走りまくるだけではなく、根に向かってもガンガン突っ込んでゆく。
ココのブレイクは岩盤でもなく砂地でもなく、人間の頭大からそれ以上の岩で形成されており、しかもそれがスロープ状になっているので予断は許されない。
岩にハリスが擦れたら一巻の終わりだ。
しかもブレイクの肩でラインが波にもまれて浮き藻などに絡むために、道糸のスラッグを出すと釣りにならない。
「道糸をPE1.5号を使っているが…?」と思ってたが、理由はソコにもあった。
ラインを張ったまま当たりを待ち、食ったらすかさずロッドを立てて潜らせないようにして、そのままゴロタ浜へ放り上げるようにしないと上手くキャッチできない。
実際俺は魚を普通に暴れさせて突っ込ませて時間を掛けた分、一回のファイトでリーダーはザクザクになっていて危ないところだった。
こう言う釣りだから彼は玉網も用意していない。2号の磯竿に1.5号のPEラインでハリスは6号。
コレで浮かせたら強引にぶち抜く、と言うスタイルだ。
「浜」だから寄せ波で足元が洗われるので、玉網が合っても届かないから使えないし、その必要も無いと言うわけだ。
「いやあ~、今日はまた特別に良く釣れますわ」
「いい日に当たりましたね!」
と彼。
「何でこんなにグレが沢山居るんだろう…」
と僕がつぶやくと
「いや、アメリカ人はグレの釣り方を誰も知らんのですよ」
「こういうロングロッドも売ってないし、無理ですね」
「だから釣り放題ですわ!あははは」
と状況を伝えてくれた。
北米釣り紀行〔4〕
Written by leon
「釣り好き」の国民性と言うのがある。
逆に世界の国々ではほとんど釣りをしない国もある。
釣り好きな国と言えばヨーロッパが歴史も最も深く、「イギリス」「ドイツ」「スゥエーデン」「フィンランド」などだろう。
そして、アメリカ人もかなり釣りが好きだ。
元々は皆ヨーロッパ人なのだから頷ける話なのだが、実際向こうで聞く話で印象に残ったのが次の逸話であり、米国人の父親の普遍的な不文律となっている。
「親父が息子に教えてやる大事な事が二つある」
「キャッチボールとフィッシングだ」
「それ以外は自分で探せばよい」
と言う話なのだが、実に豪快、単純、明快、爽快、根源、深遠であると感じ入ってしまった。
さあ、我が日本はどうだろう?
いや、釣り好きの程度の話だ。
お読みの皆さんのご明察どおり、世界に冠たる釣り好きの国民性を持つ、そう言った意味で東洋一、アジア一、と言っても決して過言では無いほど「狂」の世界を構築してしまっている(笑)
特に鮎やグレなどのベジタブルイーターを釣るための発想は、恐らく世界に類を見ない特異なものであるし、その傾注ぶりは群を抜いていると言えよう。
私は米国でのフィッシングシーンで、日本人の釣りに関する独特の感性や、その傾注ぶりから来るクオリティの高さを、自らまざまざと体験してしまった。
それは諸外国や米国において始めて感じられる種類のもので、結果的に私(もしくは私達)は現地のアングラーを散々驚かせてしまった。
その代表的なものは昨今ビッグブームを起こしている「エギ」であったし、「サビキ」でもあった。
この二つは向こうのアングラーをして「ジャパンマジック」と言わしめてしまった。
だって彼らはイカ釣りを知らないし(当時は)、サビキなんて7匹いっぺんに魚が釣れるのだもの(笑)
この話は又の機会に書くとして、今回はロスの海岸で私がほぼ日課にしていた、別のジャパンスタイルフィッシングを振り返りながら当時の生活を綴ってみよう…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Redond Beachでの出会い
終業時間が近づくにつれ、俺の頭の中のモード比率がどんどん釣りの方向へと偏っていくのを感じる。
流石に毎日ではなかったものの、ほぼ2日に一度のペースで仕事が終わり次第そのままの服装で近くの海岸まで車を飛ばし、シューズを履き替えてフィッシングベストを着込み、2時間ほどのマズメの釣りを楽しんでいた。
場所はパロスバーデスと言う風光明媚な、観光地でもあり、海岸線は険しい断崖が連続する隆起地帯だ。
俺のフェバレイトはルアーフィッシングであるし、ターゲットは当然フィッシュイーター達だ。
ところが実は日本でもやったことの無かった「グレ釣り」をココで経験するはめになってしまった。
と言うのも、良く夕食をとる為に立ち寄っていた、シーフードレストランのあるレドンドビーチ・キングハーバーと言うところの桟橋で出あった一人の現地在住の日本人アングラーが俺にきっかけを与えてくれたのだった。
蟹を食ってはすぐ傍の消波提で小物釣りを楽しんでいたある日、一人のアングラーと遭遇した。
特に俺の興味を強く引いたのはそのスタイルだった。
見慣れたアメリカ人のスタイルと全く違う。彼らは一様に太くて短い(8~9フィートほどの)ロッドを使い、冷凍のイワシを餌にしたいわゆる「ぶっこみ釣り」が主流で、他にルアーマンをたまに見かける程度。
くだんの彼はと言うと、細くてしなやかな6mくらいのロングロッドに、これまたついぞ見かけない「棒浮き」をセットして軽やかに振り込んでいる。
どうにも声を掛けずに居られない。
近寄って声を掛けると気軽に挨拶を返してくれた。
どう見ても東洋人の風貌の彼は、東洋人のようでもありメキシカンのようでもある俺の顔をためらいながら見つつ互いの戦況など多少の会話を交わす。
そのうち俺の道具に気が付いた彼がこう言った(もちろんこの時点では英会話だが)
「シマノのリールですね…」
「こちらには売って無い奴…」
「日本人の方?…」
それはこちらも同じこと。
彼のロッドはどうみてもダイワ製の磯竿(笑)
合点した二人はほぼ同時に「やあやあ」「どーもどーも」と素の日本人の挨拶を交わした。
互いに一番気になる質問はまずは俺からだった。
「で、何が釣れますか?」
「いや、グレが少々」
「は?グレ!」
「ええ、口太です」
「おおお…?」
いや驚いた。
すでにロス滞在も一月を越え、釣行も二桁を越えていた俺は、未だ一匹たりとも日本で釣っていた魚種にお目にかかったことは無かった。
バス以外は名も知らぬロックフィッシュの類ばかり。
あるといえばメキシカン達が桟橋で必死で釣っているサバくらいのものだったからコレには少々驚いた。
彼はまさしく「日本のグレ釣り」のスタイルをそこで実践していた。
ただ撒き餌も無いし餌が少々おかしい。
彼は俺の疑問に気が付き
「コレね、グリーンピースなんですよ。ボイルしてある奴。スーパーで売ってます」
「釣れます。コレで。いくらでも」
とにっこり微笑む。
驚く俺を尻目に彼は話を続ける。
「ビックリでしょ?」
「日本の仲間も、オキアミボイルを持ってきてくれたりするのですが、グリーンピースが遥かに良いです」
「時々何粒かを潰して蒔いてやれば寄ってきますし…」
「ココはグレも小物しか居ないのです」
「パロスバーデスに良いポイントがあります」
「休日に一緒に行きませんか?タックルはお貸ししますので」
嬉しい提案だった。
一も二も無く約束を交わす。
今度は彼の方が疑問を投げかけてきた。
「私ルアーはやったこと無いのですが、その道具でココで何が釣れますか?」
と聞いてきた。
無理も無い。
彼は市民権を得て20年もこの地に住んでいるベテランだが、現地のルアーマンに俺のようなスタイルを見ることは無いらしい。
俺のタックルは、3ポンドのフロロラインと、ガマカツのコブラ1.4gにスクリューテールグラブをセットしたFLSの64と言ういでたち。
いまや普通のメバリングスタイルだが、10年近く前では日本でもまだ珍しかったかもしれない(笑)
「キャリコです」
「えっ、ココで釣れますか!?」
「メバルクラスのチビですけど…」
「へええええ~~…???」
いや、愉快愉快。
互いにビックリの連発。
彼の疑問符を打ち消してやるべく、「では、ちょっくらやってみますね」、と数投で二匹釣って見せると流石アングラーすぐに食いついてきた。
「そ、それ、凄いですね!何ですかそのルアー?」
と来たので
「その道具にセットしてユルユル引いても釣れますよ」
と、スクリューテールとコブラ1.4グラムを1パックずつ差し上げ、日が暮れるまで一緒に、その日良く釣れたキャリコを楽しんで、週末の約束を胸に彼と別れを告げた。
Palos Verdes
待ちに待った土曜日がやってきた。
と言ってもたった三日の辛抱だったのだけど(笑)
地元で不動産業を営んでいる彼とレドンドで待ち合わせて目的地を目指す。行った先は上の写真とは少し離れた場所で、彼の取って置きの穴場だそうだ。
恐ろしく急峻な踏み分け道を膝をがくがくさせながら降りる。
さらさらの赤土で、しかもからっからに乾燥しているので滑りやすく、かなり怖い思いをした。何せ45度くらいの斜面を下るのだ。
途中プレーリードッグや地リスの可愛らしい挨拶を受けながら降り立った海岸は、素晴らしく透明度の高いゴロタの浜だった。
彼の弁では日本のグレ釣りほどシビアにやる必要は無いので、棒浮きのほうが釣りやすく、固定仕掛けで浮き下は2mあればよいとの事。
タックルを用意する前に彼は一握りのグリーンピースをギュッと握りつぶし、海面に抛った。
さあ、自身初のグレ釣り開始だ。
貸してもらった見慣れた日本製の小さなプラスチックの餌箱に、大袋に入った冷凍のグリーンピースを30粒ほどカラカラと入れる。
セットしたチヌ針の6号にグリーンピースを3個ほど縫い刺しする。
寄せ波はソコソコ強い。
油断して前に出すぎるとシャワーの洗礼を浴びる。
指示を受けたブレイクの向こう側まで15メートルほど振込み仕掛けをなじませる。
ドキドキしながら見つめていたら浮きはすぐに立ち上がり、安定するかと思ったらシンカーが重すぎたのかそのままゆっくりと沈んでしまった。
「食ってますよ・・・」
「ええっ???」
半信半疑と言うような表現すら似合わない、衝撃のファーストヒットだった!
フォールの段階ですでにグレが食っていてそのまま浮きをゆっくりと引き込んだわけだ(汗)
結果は余りに、簡単、明快、単純で、
無垢、始原、手付かず、を実感させられた。
40cm前後のグレが一投目からガンガンアタックしてくる。
始めて40cm級のグレを釣ったが噂にたがわず素晴らしい引きをする魚だった。左右に走りまくるだけではなく、根に向かってもガンガン突っ込んでゆく。
ココのブレイクは岩盤でもなく砂地でもなく、人間の頭大からそれ以上の岩で形成されており、しかもそれがスロープ状になっているので予断は許されない。
岩にハリスが擦れたら一巻の終わりだ。
しかもブレイクの肩でラインが波にもまれて浮き藻などに絡むために、道糸のスラッグを出すと釣りにならない。
「道糸をPE1.5号を使っているが…?」と思ってたが、理由はソコにもあった。
ラインを張ったまま当たりを待ち、食ったらすかさずロッドを立てて潜らせないようにして、そのままゴロタ浜へ放り上げるようにしないと上手くキャッチできない。
実際俺は魚を普通に暴れさせて突っ込ませて時間を掛けた分、一回のファイトでリーダーはザクザクになっていて危ないところだった。
こう言う釣りだから彼は玉網も用意していない。2号の磯竿に1.5号のPEラインでハリスは6号。
コレで浮かせたら強引にぶち抜く、と言うスタイルだ。
「浜」だから寄せ波で足元が洗われるので、玉網が合っても届かないから使えないし、その必要も無いと言うわけだ。
「いやあ~、今日はまた特別に良く釣れますわ」
「いい日に当たりましたね!」
と彼。
「何でこんなにグレが沢山居るんだろう…」
と僕がつぶやくと
「いや、アメリカ人はグレの釣り方を誰も知らんのですよ」
「こういうロングロッドも売ってないし、無理ですね」
「だから釣り放題ですわ!あははは」
と状況を伝えてくれた。
来週はもう2~3箇所の穴場に案内してもらう事を約束してその日は分かれたが、俺がその日の内に日本へ電話をして「磯竿の1.5号と2号」を送ってもらうようにしたのは言うまでも無い・・・(爆)
Written by leon